こんにちは!ハゲ太です。
育毛活動をはじめると、「サプリなどで亜鉛を摂るのが大事!」ということをよく耳にしますよね。
薄毛対策として、まずはじめに亜鉛サプリを買いに走る人も少なくないと思います。
でもよくよく調べてみると、亜鉛の摂りすぎは逆効果になるという話もあったりするんですよね。
いったい僕たちは亜鉛とどんな付き合い方をすればいいのか?どれくらい摂取するのが適当なのか?
今回、海外のあるサイトをきっかけに、亜鉛と育毛についてのこのあたりの理解がかなり深まったのでシェアさせていただきます。
結局亜鉛は育毛に効果があるのか?ないのか?という問題
以前、「亜鉛の育毛効果」について調べたところ、
■ 亜鉛はちょうどいい量を摂取する必要がある
■ 摂りすぎは逆効果になる
ということがわかりました。
https://worldfizz.com/zinc-supplement/
ただ、「やみくもに亜鉛を摂取すればいいわけではない」ということは理解できたのですが、「亜鉛は育毛に効果がある」という話と「摂りすぎはよくない」という話の矛盾点にどうもスッキリ感を感じられないというのも事実でした。
「じゃあどれくらいまでなら摂取して大丈夫なのか?」というのもはっきりしませんでしたし。
そんなモヤモヤ感を抱えていたある日、すごくわかりやすく「亜鉛問題」をまとめているWebサイトをみつけたんです。
Do Zinc Supplements Inhibit DHT?『亜鉛サプリはDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制する?』(Supernatural Acne Treatmentの1記事)
このサイトはRichard Wolfsteinという方が運営している「超自然ニキビ治療」というサイト。
このサイトは、
「科学的根拠に基づいたニキビ治療」についての知見をひろめ、ニキビ患者が一時的な対処療法ではなく根本的にニキビを治していけるようにとの思いでつくったサイト
なんだそうです。
そのなかで、
「亜鉛がDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制するという説は本当なのか??」
について、様々な研究を紹介しながらくわしく検証されています。
DHT(ジヒドロテストステロン)とは男性ホルモンの一種で、AGA(男性型脱毛症)の直接の原因になるホルモンです。
ニキビ問題にもDHT(ジヒドロテストステロン)は関係が深い
最初、
と思ったのですが、DHTはニキビにも関係しているんだそうです。
DHTが増えると皮脂腺が増えて毛穴が塞がれてしまい、ニキビによくないものだとされているんですね。
そういうわけでリチャードさんが「亜鉛は本当にDHTを抑制するのか?」という疑問について検証したのがこちらの記事になります。
Do Zinc Supplements Inhibit DHT?『亜鉛サプリはDHT(ジヒドロテストステロン)を抑制する?』
以下、リチャードさんがどのように「亜鉛とDHTの関係」を検証していったのか、そしてどんな結論に至ったのか、見ていきましょう。
「亜鉛がDHT抑制に効果がある」という説のもとになった2つの研究
まず、亜鉛にDHT抑制効果があるという説のきっかけとなった2つの研究からみていきましょう。
亜鉛がDHTを生成させる酵素「5-αリダクターゼ」という酵素を阻害するのではないか?という研究です。
研究1:「亜鉛とアゼライク酸が、人の皮膚細胞における5-αリダクターゼの活性を阻害」(Stamatiadis D1, Bulteau-Portois MC, Mowszowicz I.)
Inhibition of 5 alpha-reductase activity in human skin by zinc and azelaic acid.
【内容】
人の皮膚細胞をペトリ皿にとって、そこに亜鉛を加えると、皮膚細胞における5-αリダクターゼの活性が100%阻害された。
研究2:「過形成性のヒト前立腺におけるテストステロンの5-αリダクターゼ還元にたいする亜鉛の効果」(Leake A, Chisholm GD, Habib FK.)
The effect of zinc on the 5 alpha-reduction of testosterone by the hyperplastic human prostate gland.
【内容】
「亜鉛不足」の人が亜鉛を摂取すると、5-αリダクターゼの量は増加するが、そこからさらに亜鉛摂取を増やしていき、あるポイントを超えると5-αリダクターゼの量は減少した。
これら2つの研究から、
「亜鉛は5-αリダクターゼを阻害するらしい」
「ということは5-αリダクターゼによってテストステロンから変換されるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成も抑制するに違いない」
こういう思考の流れで「亜鉛でDHTが抑制できる」という話が広がったわけですね。
ちなみに男性型脱毛症の主な抜け毛のメカニズムは下図のようになります。男性ホルモンの「テストステロン」が、酵素である「5-αリダクターゼ」によって変換された「DHT」が脱毛を促進します。
逆に亜鉛がDHTレベルを上げるという研究
一方で、逆に「亜鉛がDHTレベルを上げる」という研究結果もでています。
研究3:「テストステロン・DHT・精子数にたいする亜鉛の効果」(Netter A, Hartoma R, Nahoul K.)
Effect of zinc administration on plasma testosterone, dihydrotestosterone, and sperm count.(
【内容】
5年以上妻を妊娠させられない「男性不妊」の患者22名が亜鉛を摂取し続けたところ、6ヶ月目までに9人が子づくりに成功。
血液検査をしたところ、血中のテストステロンとDHTのレベルはともに上昇していた。
研究4:「食事中の亜鉛欠乏は、5αリダクターゼの減少につながる」(Om AS1, Chung KW.)
【内容】
亜鉛不足になるような食事を摂ったラットと、亜鉛が十分摂れる食事を摂ったラットを比べると、「亜鉛不足のラット」のほうがDHTレベルが断然低かった。
(=亜鉛を十分摂取したラットのほうがDHTレベルが高かった)
この2つの研究からは、「亜鉛を摂取すると、テストステロンもDHTも増加する」ということが示唆されています。
2つの研究結果が矛盾していない理由
このように一見真逆の研究結果がでているように見えるのですが、リチャードさんは以下の理由から
「これらの結果は矛盾していない」
と指摘しています。
1.亜鉛はボディビルダーのあいだで筋肉増強に役立つサプリとして使用されているとおり、「テストステロン」を増加させる効果がある。
2.そのため、仮に亜鉛が5-αリダクターゼを抑制するとしても、それ以上にテストステロンが増えてしまえば、テストステロンから変換されるDHTも増えることが予想できる。
つまり、亜鉛によって5-αリダクターゼが抑制されるとしても、その亜鉛によってDHTの原料となるテストステロンも大量に増えるので、結局DHTも増えるということですね。
たしかに一理ありますが・・
でも「研究1」によると「亜鉛が5αリダクターゼを100%阻害する」という結果がでていました。
もし仮に「亜鉛が5αリダクターゼを100%阻害する」のなら、いくらテストステロンが増えてもDHTは増えないんじゃないでしょうか?
この疑問にたいして、リチャードさんは以下のようにこたえています。
■研究1は研究のデザインがお粗末で、皮膚細胞に与えた亜鉛の量は、濃度的には「致死量」ともいえる多量の亜鉛だった。
■もともと亜鉛には毒性があり、多すぎると細胞の機能を妨げることは知られている。そんな亜鉛を大量に与えたため、すべてが「機能ストップ」してしまい、酵素も100%阻害されたのだと考えられる。
つまり「亜鉛に5-αリダクターゼを抑制する効果がある」というよりも、単に多量の亜鉛の毒性によって細胞の機能が全体的に阻害されたひとつの現れとして「5-αリダクターゼが100%阻害された」のではないかということです。
「ペトリ皿 にとった酵素(5αリダクターゼ)に毒(致死量の亜鉛)をぶっかけたのですべて機能停止した」
みたいなイメージですね^^;
結論。亜鉛でDHTは抑制できない。
こうした内容から、
「亜鉛によってDHTを抑制することはできない。むしろ増える。」
とリチャードさんは結論づけています。
ここであげられた4つの研究内容を見てみると、たしかにリチャードさんが述べている内容がいちばん納得できると感じます。
亜鉛の毒性によって多少5-αリダクターゼを抑制できるとしても、それ以上にテストステロンが増加し、結果としてテストステロンから変換されるDHTも増えるということなんではないでしょうか?
以前調べた際に「亜鉛の摂りすぎはAGA治療には逆効果」とされていた意味がようやく腑に落ちました。
育毛・AGA治療に関しては「亜鉛不足」にだけ気をつければいい
そして育毛・AGA治療に関して言うと、亜鉛は「育毛効果があるから積極的にとるべき!」というものでは全くないということもわかりました。
亜鉛は細胞の分裂や代謝に必要な「必須ミネラル」なので、不足すると抜け毛の原因にもなります。
ただ過剰にあってもDHTが増えて抜け毛の原因になってしまうので、ただ「不足しないように気をつけること」、これが亜鉛にたいする正しいつきあい方のようです。
※亜鉛の1日の推奨摂取量や食べ物に含まれる亜鉛の量については、こちらの記事に書いています。
育毛のための亜鉛サプリは不要?
僕は今回AGA治療に取り組み始めたとき、あまり考えずに亜鉛サプリも飲み始めていました。
▲この「ZINC CAPS」というサプリは、1日分が亜鉛30mgとかなり多めです。
今回これは「多すぎる!」ということがはっきりわかったので、やめます。
おそらくこれを飲むことでDHTレベルは上昇していたのかもしれません^^;
今飲んでいる育毛サプリ【BOSTON】にも亜鉛が4mg配合されているので、亜鉛不足をさけるためにはこれがちょうどいい量だと思います。
もしあなたが亜鉛サプリを考えているのであれば、あまり用量の多くない亜鉛サプリを選ばれることをおすすめします。
まとめ
ということで、亜鉛にたいして抱いていたモヤモヤ感が晴れて、かなりすっきりすることができました。
わかりやすくまとめてくれたリチャードさんに感謝したいと思います^^
亜鉛は不足しないように気をつけないといけないけれど、ハゲを防ぐためにたくさん摂ればいいというわけではないようです。
「亜鉛不足にならないようにするための育毛サプリの選び方」については下の記事も参考にしてみてくださいね。
この記事を読まれた方は、ぜひ下記の記事も合わせて読んでみてください。
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