フィーバーフューとは東南ヨーロッパから西アジア原産のキク科の植物で、日本名は「ナツシロギク」といいます。
フィーバーフューは古来から薬用ハーブの一種として偏頭痛や月経不順の治療などに使われてきましたが、近年なんと「発毛効果がある」という話がちらほらでてきます。
よくある「血行促進」「炎症をふせぐ」などによる「育毛効果」ではなく、「発毛しますよ」ということがいわれてるんですね。
本当にそんな効果があるとすれば僕らにとってすごくありがたいことですが、実際のところどうなのでしょうか?
ここではフィーバーフューに期待できる効果とはどんなものなのか?について検証してみたいと思います。
フィーバーフューの有効成分「パルテノライド」に発毛効果があるという研究
なぜフィーバーフューに発毛効果があるといわれるようになったのでしょうか?
きっかけは、フィーバーフューの有効成分「パルテノライド」がもつ、ガン転移抑制効果やリウマチの治療・予防効果についての研究でした。
モニター患者にパルテノライドの投与を続けていたところ、「髪の毛が増えた!」というケースが多く見られたんですね。
これをきっかけに大阪大学の冨田哲也助教授のグループが、関西のバイオベンチャー企業「株式会社エムエムティー」と共同研究をすすめた結果、パルテノライドにはAGA(男性型脱毛症)の進行を抑え、発毛を促進する効果が確認されたのでした。
これは2008年ごろの話ですが、当時の新聞にも以下のように掲載されています。
大阪大学と医療機器開発のエム・エム・ティーは、ナツシロギクの葉から抽出した成分「パルテノライド」に育毛の効果がある事を確認した。
(日本経済新聞2008年2月5日)
大阪大学とエム・エム・ティーが共同開発したサプリメントの主成分(パルテノライド)に男性型脱毛症の進行を抑制する働きがあることを、同大の冨田哲也助教らの研究チームがヒトの細胞を使った実験で確かめた。
(朝日新聞2008年6月5日)
冨田助教授らの発表によると、AGA患者30名に数ヶ月のあいだパルテノライドのサプリメントを摂取してもらったところ、患者の約8割に「髪の毛が太くなったり、薄くなった頭頂部にうぶ毛が生えたりした」効果がみられたとのこと。
「約8割に数ヶ月で効果がみられる」のだとすると、かなりの効果といえますね!
パルテノライドがAGAの原因DHTを抑制する?
パルテノライドがどのようにAGAの進行を遅らせるのかについて、詳しいメカニズムは解明できていません。
が、おそらく次のようなメカニズムなのでは?といわれています。
- パルテノライドが「NF-kB」というタンパク質を抑制することがわかっている
- NF-kBは、DHT(ジヒドロテストステロン)があるところに多く存在し、DHTと関連が深い可能性が高い
- NF-kBを抑制するパルテノライドが、結果的にDHTも抑制するのではないか?
AGAによる薄毛を引き起こす強力な男性ホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)をパルテノライドが抑制することにより、AGAの進行を遅らせるということですね。
これはAGA治療薬であるフィナステリドに似たはたらきといえます。
残っている問題点と疑問点
フィーバーフューに含まれるパルテノライドがAGAや薄毛治療に効果が期待できそうだ、という内容をみてきました。
が、具体的にフィーバーフューをどう育毛活動にいかせるのか?についてはいくつか疑問点・問題点が残っています。
①その後の研究が進んでいる様子が見えず、用法もわからない
2008年当時に発表された研究では「30名のAGA患者に数ヶ月摂取してもらうと毛が生えた」ということでしたが、この研究についての詳細、たとえば
- 二重盲検法なのか、非盲検法なのか(プラシーボの可能性があるかどうか)
- 具体的に1日何mg摂取したのか
- 「毛が生えた」という評価はどのようにおこなったのか?(面積あたりの本数の増減など)
こういった詳しいデータは公開されていないようです。
また、その後似たような臨床研究がされたという発表もありません。
それもあって、「1日何mg服用すればいいのか?」といった用法についてもまったく不明な状況なんですね。
②株式会社エムエムティーの「パルテノライド」サプリが発毛・育毛効果を示唆していない
大阪大学との共同研究をおこなった株式会社エムエムティーは、パルテノライドに特化したサプリメントを製造・販売しています。
▲こちらが販売サイトです。
株式会社エムエムティーはパルテノライドのAGA男性への影響についての研究にも関わった、本家本元の企業です。
このサプリを販売するうえで「育毛・発毛効果を示唆」して販売するのが普通だと思いますよね。
ところが販売サイトにはそういった内容がいっさいありません。
もちろん薬機法の関係で「効果がある」とうたうことはできませんが、研究内容を掲載するくらいであれば大丈夫なはずですよね・・
純粋に「なぜ育毛・発毛で推さないんだろう?」と疑問に感じました。
追記:薬機法によると、どうやら「実際にあった研究結果を広告に記載するのもNG」らしいので、「育毛・発毛で推せない」のは仕方ないのかもしれません。
③エムエムティーのパルテノライドサプリはとても高い→育毛サプリに配合されてるのは少量では?
本家本元の株式会社エムエムティーのパルテノライドサプリ『パルテノン』は、価格がなんと1ヶ月分で18,000円(税別)もします。
めっちゃ高いですよね。。
いっぽうでフィーバーフューを配合している市販の育毛サプリの価格は1ヶ月分でだいたい4,000円〜6,000円くらいです。
この価格差を考えると、
「育毛サプリに配合されているフィーバーフューは極々少量なのでは?」
という疑問が湧いてきます。
事実、フィーバーフューエキスの配合量はどのサプリも表記されていない
「一般のサプリに、フィーバーフューは極々少量しか配合されていないのでは?」
という疑問をさらに強めるのが、どの育毛サプリもフィーバーフューエキスの配合量を公表していないという点です。
「配合量を公表しない」のは量に自信がないからともとれますし、すくなくとも「パルテノン」レベルではないのは間違いなさそうです。
そうすると、育毛サプリに配合されているフィーバーフューのAGA抑制効果ついては「おまけ程度」「気持ち程度」の効果と考えたほうがいいのかもしれません。
DHT抑制以外にも期待できる?フィーバーフューのはたらき
とはいえ、フィーバーフューにはパルテノライドによるDHT抑制以外にも「抜け毛予防」に期待できそうなはたらきもあるようです。
フィーバーフューの抗炎症作用・抗酸化作用
こちらの海外サイトには「フィーバーフューのメリット」として次のように記載されています。
参考:6 Amazing Benefits Of Feverfew For Skin, Hair And Health
フィーバーフューのハーブティーには多くの抗酸化物質が含まれており、皮膚細胞にダメージを与えるフリーラジカルから守ってくれます。
フィーバーフューは抜け毛を減らすのに役立ちます。
先ほど触れたとおりフィーバーフューには抗炎症作用があり、それを使用した人たちは劇的な「抜け毛の減少」を経験しています。
フィーバーフューのハーブを直接頭皮につけるのは副作用の心配もありおすすめできません。
おすすめはフィーバーフューのハーブティーを飲むことです。
紫外線などのダメージによって引き起こされる頭皮の炎症は、抜け毛の大きな原因のひとつですし、頭皮の細胞を攻撃するフリーラジカル(活性酸素)も抜け毛につながります。
フィーバーフューには「抗炎症作用」「抗酸化作用」にすぐれており、もともと抜け毛予防に役立つハーブとして知られてきたとのこと。
エビデンスについては確認できませんでしたが、民間伝承のようなかたちで利用されてきたようです。
フィーバーフューの副作用
フィーバーフューの副作用についても確認しておきましょう。
アメリカの専門的な健康・医療サイト『WebMD』にはフィーバーフューの「副作用」について次のように記載されています。
- 使用期間4ヶ月以上の副作用については研究データなし
- 4ヶ月未満の使用については「おそらく安全であろう」という評価
- 報告されている副作用は・・胸やけ、下痢、便秘、嘔吐、めまい、頭痛、睡眠障害、発疹、体重増加など
報告されている副作用には関連がわからないものもあり、「まあ安全でしょう」という評価のようです。
妊婦には注意が必要
ただし、
「妊娠中の女性が経口摂取する場合、安全でない可能性がある」
「異常分娩や流産につながる可能性がある」
という記載もあります。
根拠となる文献が膨大な参考資料のなかのどれなのかはちょっと探しきれませんでしたが、何らかの事例があったのはたしかなようです。
もちろん量にもよると思いますが、妊婦の方がフィーバーフューサプリを摂取する際には注意したほうがいいですね。
産後の薄毛対策には?
育毛対策をするのは妊娠時よりも産後のほうが多いと思います。(産後に女性ホルモンのバランスが崩れ、抜け毛が増えることがあるため)
フィーバーフューを授乳婦が摂取することについてはどうなのかというと、「安全性についての十分に信頼性の高い情報はない」とのこと。
授乳中も慎重に取りあつかったほうがいいかもしれません。
フィーバーフューを含む育毛サプリ
では最後にフィーバーフューを含む育毛サプリを確認しておきましょう。
- ボストン
- チャップアップサプリ
- イクオスサプリEX
- モサイン
以上の育毛サプリに「フィーバーフューエキス」が配合されています。
ここまで見てきたとおり、育毛サプリに配合されているフィーバーフューはメイン成分とはいえません。
ちなみにここにあげた4つのサプリのうち、「モサイン」はバナチン(バナナ抽出物)がメイン、他の3つは「ノコギリヤシ」「亜鉛」がメインのサプリになります。
育毛サプリを比較するときは「メインの成分の内容・はたらきがどうか?」といった点を判断材料にされることをおすすめします。
まとめ
今回は育毛サプリの成分「フィーバーフュー」について見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
さまざまな面で期待できそうな成分ではありますが、はっきりとした育毛効果についてはわからない点も多いです。
今後新たな研究がすすめられていくことを期待したいですね。