最安のキャピキシル育毛剤「バイタルウェーブスカルプローション」に気になる点が・・
「リデンシル」という新しい育毛成分について調べていたときに、リデンシルを配合している「バイタルウェーブスカルプローション」という新しい育毛剤をみつけました。
(参考:ミノキシジルの2倍!?新成分「リデンシル」の育毛効果を調べてみた)
新しい育毛剤だけあって他の育毛剤との差別化がしっかりされてあり、
■ キャピキシル5%配合のキャピキシル育毛剤の中では最安値(定期便で1ヶ月8,200円税込)
■ 新成分「リデンシル」をいち早く配合(1.5%未満)
■ 有効成分をしっかり浸透させて持続的に効果を発揮させるための独自の技術(C.P.I設計)
など、特徴のはっきりした育毛剤になっています。
「とくに価格面での強みがあるなー」と感じたのですが、気になる点がひとつありました。
▼公式サイトにあった表示
左側の「成長因子(グロースファクター)」は細胞の成長を促すシグナルとなる物質で、最近では多くの育毛剤やAGAクリニックの治療でも利用されるようになっているため、まあ見慣れたものではあります。(成長因子にもいろいろな種類がありますが)
問題は「IPS細胞」です。
バイタルウェーブスカルプローションはIPS細胞配合!??
IPS細胞(正確にはiPS細胞)といえば京都大学山中教授が作製に成功した、さまざまな細胞への分化が可能になった万能細胞のことですよね。
この図のように、さまざまな器官の「再生医療」への活用が期待されており、もちろん「毛髪」の再生医療についても研究がすすめられています。
しかしまだ「研究中」であり、2018年に実用化か?といったニュースが流れる段階なので、この段階で育毛剤に活用されているとは考えられません。
さらによく見ると「IPS細胞(植物)」と書かれています。さすがに植物の細胞が人間の器官に分化するのはありえないですよね?
いったいバイタルウェーブスカルプローションに配合されている「IPS細胞(植物)」とは何なんでしょうか?
正確には「リンゴ幹細胞エキス」=細胞の再生力を高める成分だった!
メーカーさんにも問い合わせたりして調べてみた結果、この成分は正確には「リンゴ幹細胞エキス」というものだとわかりました。
4ヶ月腐らない「奇跡のリンゴ」の幹細胞エキスが人の幹細胞の再生力を助ける
まだ冷蔵庫がなかった時代、食べ物をいかに長く保存するか?というのは大きな問題だったようです。
18世紀中頃のスイスではこの問題の解決策のひとつとして、「4ヶ月腐らないリンゴ」を品種改良によってつくることに成功しました。
これが「ウトビラー・スパトラウバー」と呼ばれる品種のリンゴです。
絶滅が危惧されている奇跡のリンゴ【ウトビラー・スパトラウバー】を知っていますか?
これは18世紀のスイスで長期保存ができるようにと品種改良がされたリンゴで、その実は放置していても4ヶ月腐らないとされていて話題になっています。今ではこのリンゴのなる木は世界に20本しかなく、保護認定されています。
18世紀ごろには流通の多くがこの品種でしたが、市場が変化し蜜の多い甘いリンゴが求められるようになってからは次第に生産が減ってきていました。
ウトビラー・スパトラウバーは腐りにくく、味が変化しないものの今のリンゴに比べてとても酸っぱかったのです。現在はスイスで生産が管理されており、そのリンゴを日本で口にすることができません。
出典:アイプラティナ
このウトビラー・スパトラウバーが腐らない秘密のひとつに「自己再生力」があります。
腐らないように自分の細胞を自己再生して維持しようとする栄養素が含まれていることが最近の研究で判明したそうなんですね。
腐らないリンゴの幹細胞を人工培養→エキスを製品化
そこに目をつけたスイスのミベールバイオケミストリー社は、今では希少種となった貴重なウトビラー・スパトラウバーの幹細胞だけを人口培養する技術を開発し、その抽出エキスを化粧品原料として製品化することに成功しました。
この「細胞の自己再生能力を助ける」エキスは、人の幹細胞に与えても細胞の機能を活性化させることがわかっています。
※ミベールバイオケミストリー社がおこなった各種試験によると、以下のような効果が確認されています。
- 幹細胞増殖能力の維持
- 紫外線からの幹細胞の防御
- 3次元培養皮膚モデルの形成
- 老化遅延に関連した特定遺伝子の発現上昇
- 老化遅延効果
- 抗しわ効果
〈参考サイト:フィトセルテック® マルス ドメスティカ(エイチホルスタイン)〉
ここにあげた効果からも想像できますが、「美容」「アンチエイジング」のための化粧品成分としても最近人気になりつつあるようです。
「リンゴ幹細胞エキス」は育毛に期待できる?
ということでバイタルウェーブスカルプローションに配合されている「IPS細胞(植物)」とは、「人の幹細胞をゲンキにしたり細胞の老化を遅らせる力をもった、リンゴ幹細胞抽出エキス」のことでした。
当たり前ですが人間の毛髪そのものをつくるiPS細胞ではなかったんですね(笑)
とはいえ「細胞の老化を遅らせる」「幹細胞をゲンキにする」という効果があるのだとすると、育毛への期待度も小さくないといえます。
「細胞の老化を遅らせる」のがなんか良さそうなのはもちろんですが、最近の研究で毛穴の奥にある「バルジ領域」に髪の毛の元になる幹細胞が存在し、これら幹細胞が育毛の鍵を握っていることがわかってきています。
バイタルウェーブスカルプローションを頭皮につけることで「リンゴ幹細胞エキス」毛穴からバルジ領域にまで届いてくれれば、幹細胞が元気になって髪の毛になる幹細胞が増えることにつながりそうですよね。
まとめ
今回はバイタルウェーブスカルプローションという育毛剤の公式ページで見た「IPS細胞配合」という謎について追ってみましたが、いかがでしたでしょうか?
おそらく「リンゴ幹細胞エキス」と表示するより「IPS細胞」のほうがインパクトがあるのでこういう表記にされたのだと思いますが、「再生医療はもう始まっていたの!?」と一瞬あせってしまいました(笑)
(ちなみにiPS細胞の定義としては幹細胞の一種といえるようです)
バイタルウェーブスカルプローションはかなり後発のキャピキシル育毛剤ですが、価格面も含めこれまでのキャピキシル育毛剤にはなかった新しいメリットを提供しようという姿勢がうかがえます。
僕たち利用する側にしてみればこうした差別化や競争はありがたいので、これからも新しい技術があればどんどん導入するなどして製品のレベルを上げていってほしいですね。